皆さんは、バドミントンのコートがかつて砂時計のような形をしていたことをご存知でしょうか?
現代の整然とした長方形からは想像もつきませんが、19世紀後半のイギリスでは、中央がくびれたコートでプレーされるのが一般的でした。なぜそのような独特な形が生まれたのか、その驚きの理由と歴史的変遷を紐解いていきましょう。
始まりは貴族の邸宅 バドミントン・ハウス
バドミントンという競技名の由来が、イギリスのボーフォート公爵の領地であるバドミントン・ハウスにあることは有名です。1870年代、この邸宅のグレート・ホールと呼ばれる大広間で、当時インドから伝わったプーナという遊びが紹介されました。これが現代バドミントンの原型です。
しかし、この大広間には競技を行う上で大きな障害がありました。ホールの両サイドの中央付近に、内開きの大きなドアがあったのです。プレー中に選手がドアにぶつかったり、観客の邪魔になったりしないよう、ネット付近の幅を狭くせざるを得ませんでした。こうして、中央が細く両端が広い砂時計型のコートが誕生したのです。

競技の普及と長方形への統一
1870年代から80年代にかけて、バドミントンはイギリス各地の軍人や貴族の間で急速に普及しました。しかし、当時は各クラブが独自のルールやコートサイズを採用しており、場所によって砂時計のくびれの角度まで異なるという混乱した状況でした。
転機となったのは、1887年に世界最古のクラブの一つであるバース・バドミントン・クラブによってルールの標準化が進められたことです。さらに、1893年にイングランドバドミントン協会(BFA)が設立されると、専用の競技会場やスポーツホールでのプレーが一般的になりました。障害物のない広い会場でわざわざくびれを作る必要はなくなり、より公平でダイナミックな動きを可能にする長方形のコートへと統一されたのです。
まとめ
バドミントンのコートがかつて砂時計型だったのは、邸宅のドアを避けるという極めて現実的な建築上の理由からでした。
- 起源: バドミントン・ハウスのホールの構造に合わせた砂時計型が誕生。
- 変遷: クラブの乱立による規格の混在を経て、標準化が進む。
- 現代: 専用ホールの普及により、1900年代初頭までに現在の長方形が定着。
建築の制約から生まれた独特の形状が、やがて世界共通のスポーツ規格へと洗練されていった過程には、歴史のロマンが詰まっています。
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